特定小規模施設用自動火災報知設備も点検が必要です!ポイントをプロが徹底解説 

皆さんこんにちは。

千葉県千葉市を拠点に消防用設備の点検・保守、工事を手掛ける有限会社新田防災です。


火災の発生を知らせてくれる自動火災報知設備は、多くの施設に設置の義務があります。延べ床面積が300㎡に満たない「特定小規模施設」も、例外ではありません。


このような施設に設置する「特定小規模施設用自動火災報知設備」は、比較的簡単に設置することが可能ですが、もちろん定期的な点検が必要です。今回は、特定小規模施設用自動火災報知設備のメリットやデメリット、点検のポイントについて詳しく解説します。




■特定小規模施設とは?



特定小規模施設とは、一部の防火対象物のうち、さらに延べ床面積が300㎡未満のもののことです。該当する防火対象物は、特定小規模施設省令(特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令)で定められています。


特定小規模施設になりえる施設としては、小規模なカラオケボックスやホテル・旅館などの宿泊施設、老人ホームやデイサービスセンターなどの社会福祉施設、そして病院・クリニックなどの医療施設が挙げられます。社会福祉施設や医療施設は、利用者の入居や入院が可能なもののみが対象です。また、建物全体ではなく、一部だけをこれらの用途で使用している場合でも対象になります。


要するに、「小規模なカラオケ+不特定多数の人が寝泊まりしている小規模な施設」が特定小規模施設なのです。カラオケが含まれているのは、小さな密室に複数の人が集まりやすいことや、防音性能の関係で外部の音が伝わりにくいことなどが関係しています。


ただし、「特定一階段等防火対象物」に該当する施設は、特定小規模施設としては扱われません。特定一階段等防火対象物とは、「地階もしくは3階以上の部分に特定用途部分(不特定多数の人が出入りするか、火災発生時に避難等が困難であると予想される部分)があり、なおかつ避難に使用する階段が屋内に1つしかない防火対象物」を指します。




■特定小規模施設用自動火災報知設備の役割と登場の背景



現在、多くの防火対象物には、火災の発生を自動的に検知して知らせてくれる「自動火災報知設備(自火報)」の設置が義務付けられています。もちろん特定小規模施設にも設置義務がありますが、通常の自動火災報知設備の代わりに「特定小規模施設用自動火災報知設備(特小自火報)」を設置することができます。


特小自火報は、通常の自火報に比べて構造がシンプルで、大掛かりな工事をしなくても設置できるのが特徴です。そのため、消防用設備に多くの費用をかけられない小規模な施設でも、比較的簡単に設置することができます。実際のところ、多くの特定小規模施設においては、特小自火報を設置しているでしょう。


ただ、昔からそうだったわけではありません。かつて自動火災報知設備の設置義務があったのは、延べ面積が300㎡以上の施設だけである一方、特小自火報の設置が認められる施設も非常に制限されていました。延べ面積300㎡未満の小規模な施設は、自火報が設置されていない場合も多かったのです。


その結果として、平成18年1月には長崎県大村市の認知症高齢者グループホーム火災が、平成19年1月には兵庫県宝塚市のカラオケボックス火災が発生。多くの人命が失われました。こういった小規模な施設での重大な火災が相次いだことを受け、消防法が改正され、特定の施設では面積に関係なく自火報の設置が義務付けられます。


しかし、小規模な施設に通常の自火報を設置するのは、費用負担などの観点から見て現実的ではありません。そこで、小規模な施設の実情に即した自火報の設置基準を定めるべく、特定小規模施設省令が制定されます。そして特定小規模施設の定義や、それらの施設で用いることができる特小自火報の技術基準が示されたのです。




■特定小規模施設用自動火災報知設備のメリット・デメリット



特定小規模施設用自動火災報知設備は、特定小規模施設に設置する場合において、通常の自動火災報知設備に比べて多くのメリットがあります。一方、簡易的な設備であるがゆえに、デメリットがあるのも事実です。いざという時に正常に作動させられるよう、特小自火報のメリットとデメリットを押さえておきましょう。


◯特小自火報のメリット

特小自火報にもいくつかのタイプがあり、それぞれメリットを備えています。まず、電池式の感知器を使うタイプは、電源の配線工事が不要です。感知器同士が無線通信を行うタイプなら、感知器間の配線が必要ありません。


また、どのタイプでも感知器自体が警報音を発するため、音響装置の設置が不要です。さらに、すべて感知器が連動して警報音を発するタイプなら、受信機の設置も不要になります。


通常の自火報は、受信機・感知器・地区音響装置・発信機といった機器を建物全体に設置し、それぞれを配線で接続しなければなりません。それに比べると、特小自火報は非常に設置が簡単で、維持管理もしやすいのが魅力といえるでしょう。


なお、連動タイプの感知器を設置する場合は、消防設備士の資格がなくても施工が可能です。設置工事をする前の、消防署への届出も必要ありません。ただ、実際にはいろいろな条件を満たした上で設置しなければならないので、自主的に設置するのだとしても、先に専門業者に相談するのがおすすめです。


◯特小自火報のデメリット

特小自火報は、電波環境によっては感知器同士の通信ができず、利用できない場合があります。もし電波環境に問題があるようなら、配線を使う通常の自火報を設置するしかありません。


問題は、タイプによっては専門資格のない方でも設置できてしまうので、不具合があっても気づけない可能性があることです。確実に作動させるためにも、まずは専門業者に問い合わせ、特小自火報の設置の可否や適切な設置場所を診断してもらうのが望ましいでしょう。




■特定小規模施設用自動火災報知設備の自主点検は可能?



自動火災報知設備をはじめとする消防用設備は、定期的に点検し所轄の消防署に報告する義務があります。この点検は、消防設備士の資格を持った人でなければ行えないため、専門業者に依頼するのが基本です。


しかし、特定小規模施設用自動火災報知設備は、一定の条件を満たす場合に自主点検が認められています。そこで、自主点検のポイントを確認しておきましょう。


◯無線型は自分でも点検できる場合がある

自主点検が認められる特小自火報は、受信機または中継器が設置されていない無線型で、かつ自動試験機能を有するものです。つまり、設置工事に消防設備士の資格を必要とせず、自火報の機能で点検が可能なタイプに限って自主点検ができます。


◯特小自火報の自主点検のポイント

特小自火報の自主点検において、確認すべきポイントは6つあります。1ヶ所でも不備があると正常に作動しないおそれがあるので、正確に点検しましょう。


・機器の状態

まずは特小自火報を目視し、変形・損傷・脱落・著しい腐食などがないことを確認してください。ひび割れや金属部分の腐食などはしばしば発生しますし、気づかないうちに感知器が脱落・紛失していることもあります。リフォーム工事などの際、感知器ごと天井が塗装されている場合もあるので注意が必要です。


・警戒箇所

特小自火報は、建物内のどこで火災が発生しても検知できなければなりません。そのため、未警戒の部分(火災発生を検知できない部分)が発生していないかどうかは必ず確認しましょう。以前は問題なかった場所でも、間仕切りの増設などによって空間が遮断され、未警戒部分が生じてしまっているケースはよくあります。


・設置場所

感知器は、設置場所に適応したタイプのものを設置する必要があります。たとえば、調理中の煙が滞留しやすい厨房に煙感知器を設置すると、火災とは関係ない煙を感知してしまうでしょう。感知器にもいろいろな種類があるので、どのタイプが適切なのかを確認した上で設置することが大切です。


・障害はないか

近くに機能障害となるものがあると、感知器が誤作動したり正常に作動しなかったりする可能性があります。よくあるのが、エアコン(吹き出し口)から1.5m未満の位置に感知器が設置されているために、エアコンの風を検知して作動してしまうというケースです。火災だと誤認させたり、無線通信を妨害したりする可能性があるものが近くにないかチェックしてください。


・正常に作動するか

感知器は、見た目に問題がなくても故障している可能性があるため、機能確認は必ず行いましょう。テストボタンを押して「正常」である旨のアナウンスが流れれば、正常に作動しています。異常を知らせるアナウンスが流れたり、アナウンス自体が流れなかったりした場合は、専門業者への点検依頼や交換を行ってください。


・連動しているか

連動型の感知器を設置している場合は、それらすべてが確実に連動していなければなりません。連動していない感知器があれば、そのエリアの火災発生を感知できなかったり、他のエリアでの火災発生が伝わらなかったりする可能性があります。機能テストをして連動を確認しましょう。


◯特定小規模施設用自動火災報知設備点検票の記入要領

特小自火報の自主点検をした後は、その結果を「特定小規模施設用自動火災報知設備点検票」に記入し、消防署に提出・報告する必要があります。点検票は、自治体のホームページなどからダウンロードすることが可能です。


点検票の記入で迷いやすいのが、感知器の「製造者名」および「型式名」です。これらは感知器の側面または裏面に記載されています。型式は一般的に「感第◯◯号」と記載されているので、そのまま記入してください。


また、点検項目については、正常の場合は◯を、不良の場合は不良があった感知器の個数を記載します。その上で備考欄に、不良感知器の設置場所や不良項目等を記載しましょう。


このように、特小自火報の点検は手間がかかります。正確に点検し、なおかつ期限内に報告するためには、自主点検よりも専門業者に依頼するのがおすすめです。




■特定小規模施設用自動火災報知設備の設置や点検は新田防災まで!



特定小規模施設用自動火災報知設備は、設置が比較的簡単でメリットも多く、自主点検も可能です。しかし実際には、「正確に点検する自信がない」「点検している余裕がない」といった施設も多いと思われます。


迅速かつ正確な点検を行うためには、やはり専門業者に依頼するのが最も確実です。万が一火災が発生した時に、利用者やスタッフの命を守るための機器ですから、確実に正常作動するようにしておかなければなりません。まずはお近くの専門業者に相談してみましょう。



千葉県千葉市の新田防災では、大小問わず建物の消防用設備の点検・保守を行っております。特定小規模施設における消防用設備の施工実績も豊富にあり、管理者様・利用者様の目線でアドバイスができ、施設の用途や規模に応じた正確な施工が可能です。さらに、各種申請の代行もお任せいただけます。消防用設備の設置・追加・点検が必要な時は、お気軽に新田防災までご相談ください。




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