消防用設備点検の義務はオーナーにあるの? 入居者は何をするべき?

皆さま、こんにちは。

千葉県千葉市を拠点に消防用設備の点検・保守、工事を手掛ける有限会社新田防災です。


火災発生時の被害を最小限に抑えるためには、普段からの消防用設備の点検が大切です。しかし、テナントビルやマンションといった物件においては「点検の義務を負うのはオーナーなの? それとも入居者なの?」という疑問が生じることがあります。また、誰が点検費用を負担するのかも気になるところです。今回は、これらの疑問について解説します。




■消防用設備点検の実施義務を負い、費用を負担するのは誰?



消防用設備の点検および報告義務は、消防法 第17条3の3で定められています。これによると、点検・報告の義務を負うのは防火対象物の「関係者」です。少々曖昧な表現ですが、一般的に点検の実施や費用負担の義務は「管理権原者」にあるとされています。


管理権原者とは、防火対象物の正当な管理権を有しており、防火対象物の防火管理を「法律、契約または慣習上当然行うべき者」を指します。具体的には、建物の所有者(オーナー)や賃借人などです。共同住宅やテナントビルの場合は、各住戸・テナントの所有者や入居者も管理権原者となります。


また、所有者と賃借人が同時に管理権を有している場所については、実質的な影響力を持つ賃借人が管理責任を持つのが基本です。たとえばテナントビルの場合だと、階段・通路・エレベーターといった共用部分については、所有者が責任を負います。一方、各テナントは入居者が専有しているので、入居者が消防用設備点検の義務を負うのです。


しかし実際には、オーナーや管理会社が費用を負担して点検を行い、入居者はそれに協力するだけでいいというケースが少なくありません。詳しくは次の項目で解説します。


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■消防用設備点検の義務者は、賃貸借契約時に定めることが多い



建物の維持管理の義務とその費用は、原則として所有者が負担すべきものです。しかし、消防用設備の点検に関しては、所有者と賃借人の両方が管理権原者となるため、責任の所在がわかりにくくなることが珍しくありません。専有部分と共用部分で分ける方法は、あくまでも基本的な考え方に過ぎず、法律で決められているわけではないのです。


そのため多くの場合は、賃貸借契約の際に消防用設備点検の義務者を定めています。「点検の責任や費用はオーナーが持ちます。その代わり業者が点検に来たら中に入れてください」というケースもあれば、「すべて入居者が責任を持ち、費用も負担してください」というケースもあるのです。結局のところは、オーナーの考え方次第だともいえます。


契約内容においてこの点が曖昧になっているのであれば、トラブルを防ぐためにもルール作りを行い、契約に盛り込んでおくのがおすすめです。また、入居者の側も契約書や重要事項説明書をよく確認し、不明点があればオーナーや前の入居者に問い合わせるのが望ましいでしょう。




■消防用設備点検には入居者の協力も必要です!



消防用設備点検は、義務者や費用の負担者を定めるだけでなく、それを入居者に周知することも大切です。業者が点検のためにテナントや住戸を訪れたものの、留守のため点検できなかったというケースは非常によくあります。また、プライバシーを理由に入室を断られたり、面倒だからといって居留守を使われたりするケースも珍しくありません。


この状況を「仕方がない」といって放置すると、消防用設備の不備に気づくことができず、火災の発生や被害拡大につながることもあります。そうなった場合、当然ながらオーナーも責任を問われます。どれだけ細かくルールを定めても、点検が実行できなければ意味がないのです。


そのため、点検の義務者が誰であっても、点検の重要性は入居者全員に周知する必要があります。場合によっては、「不在時でも立ち入って点検を行う」「点検を拒否したために損害が生じた時は賠償責任を負う」といったルールを定めた方がいいかもしれません。ただ、現在は新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中または隔離中の方のお部屋への入室は出来ませんのでご注意を。

入居者にも防火についての意識してもらい、協力して適切な点検を実施しましょう。



千葉県千葉市の新田防災では、大小問わず建物の消防用設備の点検・保守を行っております。テナント入居時の消防用設備設置やその後の点検も豊富な実績があり、施設の用途や規模に応じた正確な施工が可能です。さらに、各種申請の代行もお任せいただけます。消防用設備の設置・追加・点検が必要な時は、お気軽に新田防災までご相談ください。