飲食店を開業するなら必見! 消防法で義務付けられた届出を解説

皆さま、こんにちは。

千葉県千葉市を拠点に消防設備の点検・保守、工事を手掛ける有限会社新田防災です。


近年では、飲食店から発生する火災が全国的に増加しています。これは調理方法の多様化・効率化に伴う厨房設備の高火力化や、営業時間の長時間化によるメンテナンス不足などが関係しているとされています。


飲食店には多くのお客様が来店されますから、万が一の火災に備えてしっかりと対策をしておかなければなりません。そこで今回は、飲食店における消防用設備点検や、開業する際の各種届出について解説します。




■飲食店火災の原因で最も多いのは何?



ご想像がつくかと思いますが、飲食店における出火の原因として最も多いのは「コンロ」です。消防庁の統計によると、出火原因の約4割をコンロが占めています。また、そのうちの約6割が、火のついたコンロを放置するなどしてその場を離れた時に発生しています。飲食店だからといって、特別な理由で出火しているわけではないのです。


さらに最近では、人手不足も火災の一因となっています。新型コロナ対策としての時短要請・休業要請から復帰した結果、スタッフが足りなくなっている飲食店も多いのではないでしょうか。このような状況では接客に気を取られ、コンロへの注意がおろそかになりがちです。火災はいつ起きてもおかしくないと考え、消防用設備の設置・点検をしっかりと行う必要があります。




■飲食店を開業する際に必要な消防署への届出



飲食店を開業する時は、消防署にさまざまな届出をする必要があります。これは火災への備えとして、消防法で定められた義務です。届出に不備があると開業そのものができなくなる場合もあるため、しっかりと準備をしておかなければなりません。開業時に必要な4つの届出を確認しておきましょう。



・防火管理者選任届



防火管理者を選任したことを知らせる届出です。

入居しているテナントが防火対象物であれば、防火管理者の選任が必要です。

単独店舗なのか?複合施設なのか?収容人数、従業員、客席数や面積割合で異なってきますので、よく確認をしましょう。


防火管理者とは、多くの人が利用する建物における防火管理の責任者を指します。建物の規模に応じた甲種・乙種の2種類があり、取得するためには1日~2日の講習を受け、効果測定試験に合格する必要があります。


防火管理者の主な役目は、消防計画の作成や避難訓練の実施、消防用設備の設置・点検、収容人員の管理、火気の使用または取扱いに関する監督などです。責任ある立場のため、飲食店においてはオーナーや店長が務めるのが適切とされています。


防火管理者が必要な防火対象物においては、すべてのテナントで防火管理者の選任が必要です。例えば、火事発生時に自力で避難することが著しく困難な方が入所する社会福祉施設であればもちろんのこと、劇場・飲食店・店舗・ホテル・病院など不特定多数の方が出入りする用途がある防火対象物を「特定用途の防火対策物」といい、こちらも防火管理者の選任が必要です。



・防火対象物使用開始届



開業にあたって、建物もしくはその一部分を使用するために必要な届出です。どのような人が入居してどのような飲食店を始めるのか、そして消防用設備が適切に設置されているかを確認するために提出します。建物の平面図や立面図、火気設備のリストや消防用設備の設計図書なども添付する必要があります。


提出の期限は、実際に店舗の使用を開始する7日前までです。また、店舗の間取り変更や修繕をする場合には、「防火対象物工事等計画届出書」も提出する必要があります。



・火を使用する設備等の設置届



コンロなど、火を使用する設備を設置する際に必要な届出です。多くの飲食店においては必須となります。厨房設備だけでなく、温風暖房機やボイラー、給湯湯沸設備、乾燥設備、サウナ設備、ヒートポンプ冷暖房機、火花を生ずる設備なども対象になるので、調理自体に火を使わなくても提出しなければならないケースは少なくありません。



・消防計画の届出



消防計画とは、火災予防のための取り組みや火災発生時の対処法をまとめたものです。

防火管理者の選任を行うと、消防計画を作成し、管轄の消防署へ提出しなければなりません。消防計画を提出すると、計画内に記載した、訓練や自主点検を行う必要があります。

消防計画は提出して終わりではなく、防火管理上必要な業務や消防用設備の設置状況などについて、定期点検を実施しその結果を消防長へ報告しなければなりません。消防計画は提出して終わりではありませんので、注意しましょう。


防火管理者が中心となって作成します。従業員の人数や、各種点検・消防訓練の実施状況や回数も記載する必要があります。




■飲食店に必要な消防用設備とは?



飲食店の開業時には、火災に備えて消防用設備を設置しておく義務があります。大きく分けると以下の4種類があるので、建物の大きさや構造に応じて設置しましょう。



・消火設備



火を消すための設備です。消火器の他、屋内・屋外消火栓設備やスプリンクラー、泡消火設備、ガス系消火設備、粉末消火設備などがあります。



・警報設備



火災の発生を店舗内に知らせ、さらに消防署へ通報するための設備です。自動火災報知設備(自火報)をはじめ、ガス漏れ火災警報設備、火災通報装置、非常警報設備、漏電火災警報器などがあります。



・避難設備



火災発生時、スムーズに避難できるようにするための設備です。避難はしごや標識、誘導灯、非常用照明、救助袋などがあります。



・消防活動用設備



消防隊の消火活動を助けるための設備です。排煙設備や連結送水管、無線通信補助設備などがあります。




■消防署から「立入検査結果通知書」が届いたらどうすればいい?



飲食店の開業前には、消防設備の設置や移設、増設を行った際に行われる消防署の「消防検査」を受ける必要があります。

営業開始後は、数年に1度の頻度で消防から連絡があり「立入検査」が行われます。


立入検査の結果、消防法に適合していない箇所があると「立入検査結果通知書」が届き、改善を指示されます。「指定された期日までに改善しなければ!」と、焦る方も多いでしょう。


しかし実際には、記載された期日までに「改善計画書」を提出し、その内容を実行すれば問題ありません。


既存建物にテナント入居している場合は防火対象物使用開始届出の提出及び、間仕切り変更に伴う消防設備設置届出の提出を行うと、届け出に沿って「消防検査」を行います。「消防検査」は立入検査と異なり、不備があれば是正しないと「消防検査結果通知書」や「検査済証」は発行されなくなりますので確実に行わないといけません。

また新築の場合も同様に、防火対象物使用開始届の提出と消防設備の設置届を提出し「消防検査」を行います。各市区町村と建物規模によっては、写真だけの提出で検査が終了する場合もあります。


専門業者に相談するのであれば、指摘を受けた箇所も含めて全体的に点検をしてもらうのがおすすめです。立入検査前に専門業者にチェックしてもらうのが最も望ましいといえます。


飲食店を開業するための許可というと、保健所からの営業許可に目が行きがちですが、防火関連も非常に重要なポイントです。もし不備を指摘されれば、営業を一時的にストップしてでも改善しなければなりませんし、せっかく作った内装や設備を撤去しなければならないこともあるでしょう。何より、万が一火災が発生した時に被害が拡大しかねません。


そのような事態を防ぎ安全な店舗を作り上げるためにも、消防法で定められたルールをしっかりと理解し、消防用設備の設置・点検や各種届出を確実に行う必要があります。専門業者のサポートを受けると、不備なくスムーズに進めることができるので、まずは相談してみましょう。


千葉県千葉市の新田防災では、大小問わず建物の消防用設備の点検・保守を行っております。飲食店開業時の消防用設備設置やその後の点検も豊富な実績があり、施設の用途や規模に応じた正確な施工が可能です。消防用設備の設置・追加・点検が必要な時は、お気軽に新田防災までご相談ください。


                         2022年10月時点