皆さま、こんにちは。千葉県千葉市を拠点に消防設備の点検・保守、工事を手掛ける有限会社新田防災です。
前回の記事では、テナントにおける消防用設備の点検義務について解説しました。テナントの入居者は借主の立場であり、万が一にも火災を発生させれば、オーナーにも責任が及んでしまいます。そのため入居時には、消防用設備の点検をはじめ、防火のためのさまざまな手続きをしなければならないのです。今回は、テナント入居時の手続きの流れをご紹介します。
■テナント入居時の流れ
テナントに入居する時は、使用開始の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を提出する必要があります。また、テナントの修繕や模様替え、間仕切りの変更などをする場合は、着手の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」の提出が必要です。スムーズに開業するためにも、入居時の手続きの流れを確認しておきましょう。
① 事前準備
まずは届出の事前準備として、必要な書類・資料を用意します。主な必要資料は、防火対象物概要表・案内図・平面図・詳細図・立面図・断面図・展開図・室内仕上表及び建具表などです。これらの資料に表紙をつけて管轄消防署に届け出ることになりますので、漏れのないように準備をしておきましょう。
また、届出の際には以下の情報も必要です。併せて確認しておいてください。
・建物の消防法上の用途
テナントが入っている建物自体の用途によって、防火に関するルールが決まります。
・事業の消防法上の用途
入居して行う事業によっても、守るべきルールが変わります。また、事業の内容によっては特定の設備を用意する必要があったり、建物全体の用途が変わったりすることもあります。
・建物の消防用設備等
間仕切りや厨房設備を設置すると、消防用設備の増設や移設が必要になる場合があります。
・建物全体の収容人員
建物全体の収容人員と用途次第では、防火管理者の選任（後述）が必要です。
・テナントの収容人員
テナント自体の収容人員は、防火管理者の資格種別に影響します。
② 管轄消防署へ相談
管轄の消防署に相談し、必要な書類や消防用設備、防火管理者の選任などに関する説明を受けます。上記の資料準備や確認をしっかり行なっておくと、とてもスムーズに相談できます。事前に電話で予約を入れた上で訪問しましょう。市区町村によって届出書類の種類が異なる場合があるので、管轄消防署との事前相談の際にしっかり確認しましょう。
③防火管理者の選任（該当していれば必要）
建物の用途や収容人員によっては、防火管理者を選任する必要があります。該当する場合は防火管理者を選任した上で、「防火（防災）管理者選任届出書」と「消防計画作成（変更）届出書」を届け出る義務が生じます。届出の期限は特に設けられていませんが、少なくとも営業開始までには届け出ておきましょう。
④消防設備工事
消防設備士が、図面や消防設備設計に沿って消防設備機器の工事を行います。事前準備で必要書類を取り揃えておくことでスムーズな工事を行うことが出来ますので用意しましょう。
⑤管轄消防署へ届出
書類・資料をそろえた上で、管轄の消防署へ届出を行います。「防火対象物使用開始届出書」と「防火対象物工事等計画届出書」に加え、必要に応じて「火を使用する設備等の設置の届出書」なども提出してください。
⑥消防署による現地調査
消防職員による現地調査を受け、消防法令に適合していることを確認してもらいます。調査の完了後は、届出書の副本が返却されるので保管しておきましょう。もし現地調査で不備が見つかった場合は、改修した上で再度検査を受けなければなりません。開業当日に検査を受けて不備が発覚するケースも珍しくないので、事前の十分なチェックが大切です。
⑦営業開始
ここまでの条件をすべてクリアすれば営業を開始できます。営業の開始後も、消防用設備の点検報告や消防訓練の実施義務があるので、引き続き法令遵守と防火に努めましょう。
■消防法を守って安全に開店・開業しよう
消防法に基づく届出や消防用設備の設置に不備があると、他の準備をどれだけ丁寧に進めていたとしても、営業できなくなってしまう可能性があります。万が一火災が発生した時に、生命やテナントを守るための措置ですから、しっかりとルールを守ることが大切です。
もし届出や消防用設備に関する不明点があれば、専門業者に相談しておくとスムーズに進められます。余裕を持って準備を整え、安全なテナントを開業しましょう。
千葉県千葉市の新田防災では、大小問わず建物の消防用設備の点検・保守を行っております。テナント入居時の消防用設備設置やその後の点検も豊富な実績があり、施設の用途や規模に応じた正確な施工が可能です。さらに、各種申請の代行もお任せいただけます。消防用設備の設置・追加・点検が必要な時は、お気軽に新田防災までご相談ください。
